Interview2

FAXTORY_A
ゴキブリだってネズミだってみんな進化の頂点なんです
田村淳×関野吉晴
ATSUSHI TAMURA×YOSHIHARU SEKINO


探検家・関野吉晴。1993年12月から2002年にかけて、人類祖先の足跡をたどる旅『グレートジャーニー』を行なった。さらに04~11年、今度は日本人のルーツとなった行程を巡る旅『新グレートジャーニー』を敢行。探検の模様はテレビで度々放送されたが、合計およそ14年、5万キロ以上にも及ぶその行動力の源は一体何なのだろう。 淳 関野さんのことはテレビの『グレートジャーニー』で何度かお見かけしたことはあるんですが、そもそも『グレートジャーニー』って、どういう探検なんですか?

関野 人類の祖はアフリカで誕生し、そこから世界中に散らばっていきました。その中でも一番遠くまで旅した人たちは、シベリア・アラスカを経由して、1万年以上前に南米の最南端にたどり着きました。その人類拡散の旅を、イギリスの考古学者ブライアン・M・フェイガンがグレートジャーニーと名付けたんです。それを僕は南米発アフリカ着と、逆ルートでやったんです。淳さん、人類が生まれたのは、いつだって習いました?
淳 ……めっちゃ前、ですかね。
関野 (笑)。約700万年前です。
淳 それって、類人猿とかの類がってことですか?
関野 類人猿ってチンパンジーとかゴリラのことですよ。それの共通の先祖から分かれてるんです。みんな勘違いしてるのは、猿は人間を造るための失敗作じゃないってこと。猿は猿で進化してるし、逆に“今の猿”が、猿としての進化の頂点なんです。それが何故分かったかというとDNA。DNAの特徴は、コピーすることなんですよね。乱暴に言うと、自分をコピーして子孫を残す。だけどそれだけじゃ人間は生まれてなかったんですよ。では、どうやって人類が誕生したのか。その秘密がDNAのもうひとつの特徴、コピーミスを犯したことがきっかけです。
淳 ミスが進化を促した?
関野 はい。紫外線とか放射線とかによってDNAにほころびが起き、そうすると違うものができる。突然変異ですね。キリンの首が長くなったのも、実はそのせい。
淳 木の上のほうの葉っぱを食べるために、じゃないんですか?
関野 突然変異で、たまたま首が長くなった変種が環境に適応して生き残っただけです。もしかしたら逆に首が短くなった変種も出てきたのかもしれないけれど、そういう種は生き残れなかった。
淳 なるほど。
関野 そうしてこれまで生き残った生物の種は、現在で大体3000万種といわれています。
淳 ……奇跡的ですね。
関野 だからゴキブリだろうがネズミだろうが、みんな進化の頂点なんです。人間は万物の霊長っていうけど、決して偉いわけじゃない。たまたま発達した脳を武器に物を生み出していった結果、天敵がいなくなっちゃっただけでね。本来、生命の歴史は、絶滅の歴史なんです。放っておいても何かしらの理由で絶滅してきた。でも、今現在地球上で起きている絶滅は問題で、要は人間のやってる開発のせいで、どんどん種が減ってるんです。
淳 地球の都合じゃない絶滅ですね。
関野 はい。仮に植物が全部絶滅したら、我々は生きていけません。植物は太陽と二酸化炭素、水で有機物をつくってくれる。じゃあ植物は、動物がいなくてもいいかというと、そうでもなくて。
淳 昆虫や動物に花粉を運んでもらわないといけない。
関野 そう。それに種も運んでもらわないと。だから果物は、動物に食べてもらえるように、あんなに派手な色をしているんです。
淳 自然界って微妙なバランスの上に成り立ってるんですね。
関野 ただ、切ってもOKな木の量っていうのはあると思うんです。自分たちが使う分だけ、とか。野生動物もそう。捕鯨を「けしからん」という人がいるけど、絶滅しない限りで、なおかつ自分が食べる量だけなら獲っていいと思うんですよ。それを「可愛いから」「頭がいいからダメ」っていうのはね。じゃあ頭の悪いやつ、可愛くないやつは何されてもいいのかって話で、そんな無茶苦茶な理論はないですよ。
淳 人間ってムチャクチャですよね。人間にも天敵がいれば、きっと変わってたでしょうけど……。
関野 いるとしたらウイルスでしょうね。エイズが流行り始めたときに、天敵が現れたって思いましたもん。でも今、製薬会社が抗生物質の開発をやめようとしてるんですよ。(詳細は、本誌p.70から)

PROFILE
1949年1月20日生まれ。東京都出身。冒険家、医師、武蔵野美術大学教授。71年一橋大学在学中に探検部を創部し、以来、南米アマゾンを中心に中央アンデス、パタゴニア、アタカマ高地、ギアナ高地などを探検。それをきっかけに93年12月、44歳のときに人類祖先の拡散の足取りをたどる旅『グレートジャーニー』をスタート。足掛け10年をかけて南米最南端のナバリーノ島からアメリカ、シベリア、アジア、ヨーロッパを巡り、アフリカ・タンザニアのラエトリまでカヌーや自転車、徒歩など自分の力のみで旅をし、その模様がフジテレビ系列にて放送され、シリーズ化された。また04年秋には日本人の祖先の足跡をたどる『新グレートジャーニー』を開始。最後の海のルートでは航海に使うカヌーを造ることから始め、インドネシアを出発し、昨年6月に石垣島でゴールを迎えた。この『新グレートジャーニー』が2月12日16時よりフジテレビ系列にて放送予定。著書に写真記録集『海のグレートジャーニー 』など多数。


テレ朝チャンネル
『FACTORY_A』放送予定 対談の様子がそのままCS放送・テレ朝チャンネルで見られるように。小誌と併せて見ればさらに楽しめるはず!(月1回更新)
http://tv-asahi-channel.jp

2月12日(日)
17:30~18:00

【再放送】
2月13日(月)23:35~24:05


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